投稿日時 2025-05-23 10:04:18 投稿者 ![]() 斎賀久遠 このユーザのマイページへ お気に入りユーザ登録 |
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**商品番号003|『正義のかたち』** ―誰も間違っていない。だから、世界は壊れた。 ひとつの街で、戦争が起きた。 きっかけは些細だった。 境界線に置かれた一輪の花。 それを踏んだのが、どちらの兵士か。 誰が先に撃ったのか。 どちらが侮辱したのか。 どちらの神が先に否定されたのか。 議論はまとまらなかった。 でも、それぞれの国が言った。 「我々は、守るために戦う」 「自由を奪われないために」 「正義のために」 兵士は叫んだ。「敵を倒すことが、平和への近道だ!」 教師は泣いた。「子どもたちに希望を教えるために、我々は立ち上がる!」 司祭は祈った。「神は、この戦いを祝福している!」 科学者はうなずいた。「この技術は、防衛のためにだけ使われる」 政治家は誓った。「この犠牲は、未来への投資だ」 そして、街は燃えた。 瓦礫の下から、少年が出てきた。 左右で言葉が違う国の血を引いた子どもだった。 彼はひとつの質問をして、沈黙を呼んだ。 「“正しい”って、どっちの言葉で言えばいいの?」 |
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