投稿日時 2025-05-26 18:48:39 投稿者 ![]() 斎賀久遠 このユーザのマイページへ お気に入りユーザ登録 |
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**商品番号005|『それでも空は青かった』** 私は、スーパーでトマトがちょっと高くなったのを気にした。 カップ麺の味が変わったことにイラついた。 仕事の帰りにTikTokを見た。 駅の構内に平和な音楽が流れていた。 遠くの国で戦争が起きて人が大勢死んだらしい。 でも私は、 一度も、誰かの名前を知ろうとも思わなかった。 ある日、画面越しに泣いていた女の子が言った。 「もしも私が貴方のそばで泣いてても、きっとあなたに私は映らない」 彼女の目は、私を見ていた。 でも私は、 見なかった。スマホを閉じた。夕飯の支度をした。 夜、ベランダで空を見た。 澄んでいた。静かだった。 銃声は、なかった。 私は安心した。 世界のどこかで空が黒く焼けたとき、 君の空が青かったなら―― それは“幸運”じゃなく、“無関心”の恩恵かもしれない。 |
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